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突然の大雨特別警報 気象庁「線状降水帯の想定できず」

 4日未明に熊本県南部を襲った豪雨で、市中心部などが浸水した同県人吉市では、気象庁の大雨特別警報後に市全域に避難指示が発令された。これまで同庁は特別警報前に記者会見を開催して警戒を促していたが、今回はそれがなく、突然の特別警報発令となった。6日午後には福岡、佐賀、長崎の一部にも特別警報が出たが、状況は同じ。背景には、豪雨をもたらした「線状降水帯」の発生予測が難しいことがある。

 同庁が熊本、鹿児島両県に特別警報を出したのは、4日午前4時50分だった。これを受けて、熊本県人吉市が市内全域に避難指示を出したのは午前5時15分と、25分の遅れが出た。

 ただ、国土交通省人吉観測所(人吉市)では午前2時に1時間雨量のピークを記録。その後、市内を流れる球(く)磨(ま)川の水位は一気に上昇し、午前4時には「氾濫危険水位」の3・4メートルに達していた。

 特別警報は、災害が発生している可能性が高い状況とされ、警戒レベルは最大の5にあたる。同庁は「特別警報が発表されてからの避難では手遅れになる」として、警報を待たずに避難するよう呼びかけている。

 過去の台風被害などで特別警報が予想される場合には、同庁は事前に会見を開催。平成30年7月6日の西日本豪雨の際も、梅雨前線の停滞に台風の影響が予想されるとして前日に会見し、警戒を促した。

 今回、同庁が会見したのは、特別警報後の4日午前6時。同庁の担当者は「(今回の被害をもたらした)線状降水帯は発生の予測が難しく、特別警報級の雨量とは想定できなかった」と理由を説明する。

 同庁は3日の段階で、熊本県内の24時間降水量を「多いところで200ミリ程度」と予想していたが、線状降水帯が形成されたことで、「想定の倍以上の降水量をもたらした」(担当者)という。

 東京大の片田敏孝特任教授(災害社会工学)は、線状降水帯の予測の難しさを指摘した上で、「同様の豪雨災害が今後どこで起きるか予断できない状況。避難指示を待たずに避難行動を考えてほしい」と話している。

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