教育・子育て

短くなった1学期、成績どうつける? 2学期制導入の自治体も

 近畿地方の学校で全員そろっての通常授業が再開され始めた今、教員が頭を悩ませているのが、1学期の成績をどうつけるかだ。特に中学3年では、公立高校を受験する際の内申点に、1学期の成績が大きく影響する。大阪府が中学3年向けの統一テストを見送るなど定期考査以外の判断材料も減っており、各学校は対応に苦慮している。(木ノ下めぐみ)

 大阪府では毎年、内申点に影響する独自の中学3年生向け学力テスト「チャレンジテスト」を毎年6月に行うが、今年はコロナ禍で中止に。府教育庁の担当者は「7月に担任と生徒、保護者の進路面談があり、それまでに代替の評価方法を示したい」とするが、ある大阪市立中の校長は「受験生にとって影響が大きく、一刻も早く対応を決めてほしい」とやきもきする。

 この中学では、例年5月下旬に行う中間テストを取りやめ、6月下旬に行ってきた期末テストを7月に遅らせた。「評価の適正さを担保するなら定期考査を2回実施するのが望ましいがやむを得ない」と判断したといい、日々の学習状況なども踏まえて成績をつけるという。

 1学期の授業開始が大幅に遅れたことを受け、急遽2学期制を導入した自治体もある。北九州市では、全市立小中学校で10月16日までを前期、それ以降を後期とした。小中学生の感染が確認され、今月18日まで分散登校が続くため、学校現場から「3学期制では1学期の日数が少なすぎて評価できない」という声が上がったという。同市教育委員会の担当者は「生徒をゆっくり見る余裕ができ、通知表をつける回数が減る分、教員の負担も減る」と説明する。

 5月中旬に授業を再開した高知県南国市は、9月18日までを前期、連休をはさんだ23日からを後期に。同市教委は「成績をつけるための授業やまとめのテストより、子供と向き合い、力をつけさせる時間をつくる方が大事だと判断した」。

 両市とも、定期考査の回数は3学期制より減少するが、日常の学習姿勢や習熟度をはかる小テストの結果を加味することで、適正な評価が可能だと判断したという。

 文部科学省の調査では、昨年度までに2学期制を導入していた小中学校は全体の2割程度だったが、担当者は「コロナ対策のため今年度に限り2学期制を導入する自治体が複数あると聞いている」。高校入試の内申点に影響する中学3年生の成績のつけ方について「各自治体で実情に合った工夫をしてほしい」と話している。

 高校受験の内申点 多くの公立高校の受験では、入学試験の点数と出身中学での評価(内申点)を合わせて合否が決まる。内申点は授業中の取り組みや課題の提出状況、定期考査の結果などを根拠に各教科を点数化。1、2年時の成績を加味する地域もあるが、一般的には3年生の入学願書出願までの成績が重視される。入学試験と内申点の比重は地域や学校によって異なる。

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