受験指導の現場から

リモート授業を導入しても肝心なのは教師の腕 小島よしお先生の人気も頷ける (1/2ページ)

吉田克己
吉田克己

 子どもを飽きさせない演出に感心

 いきなりであるが、「おっぱっぴー小学校」をご存じだろうか? この「小学校」の存在は知らなかったとしても、お笑いタレントの小島よしお氏なら、ほとんどの読者がご存じだろう。

 そう、おっぱっぴー小学校とは、小島よしお氏が講師として出演している一連の映像授業のことである。何を隠そう、筆者も数日前まで同校(?)の存在を知らなかった。先日、某報道番組が取り上げたことで初めて知った次第。

 まだまだ数えるほどの本数しか収録・公開されていないが、長さも1テーマあたり10分程度で、小学校低学年の子どもでも、最後まで飽きずに観ることができる仕立てになっている。これからのリモート授業のあり方を考える上でも参考になる、と感じた。「円周率」の回の最後のオチはご愛嬌であるが、これも最後まで観させるための仕掛けと捉えれば合点がいく。

 ちなみに、小島よしお氏は早稲田大学教育学部国語国文学科卒、小学生の頃は、小学校の教師になりたいと思っていたという。

 おっぱっぴー小学校 小5算数「円周率」

 お粗末な公立校 対応の早い私立校

 3月上旬以降、新型コロナウイルスの影響により全国規模で休校が続いていることから、各校、各予備校・塾などでなんらかの代替え措置がとられている。その方法や開始時期はさまざまであるが、総じて、公立に比べて私立や民間のほうが、格段に対応が早い。身近なところからいくつか挙げてみたい。

 【筆者が非常勤講師を務める大学・大学院(地方の大規模校)】

 緊急事態宣言発出の約1週間後、4月中旬のうちに、前期授業をGW直後の開始とし、同時に前期授業はすべてメディア授業で代替えする(主にZoomとGoogle Classroomを使用)ことを決定。

 【知人の子息が通う都内の私立大学附属高校】

 GW以降もしばらくのあいだ登校中止。その間は、メール添付で随時送られてきた課題に取り組み、後日提出。5月11日からは当面の間、平日の朝一から夕方までGoogle Meetによるオンライン授業を実施。

 【知人などの子息が通う公立の小・中・高校】

 副教材やプリントなど、学校から課題が指定されている。休校が続いているにもかかわらず、復習中心で単調な課題が多い。課題の量は普段の宿題と大差ない学校が多く、映像などを活用しているという話は聞かない。登校日が設定されることはあっても、家庭訪問はおろか、電話1本すらないらしい。

 【知人や個別指導の生徒が所属する大手塾(中・高受験)】

 4月初めより、当初からのカリキュラムに沿って、社員講師による無観客試合ならぬ“無生徒授業”を収録し、映像授業を配信。生徒は随時その動画を視聴し、各自で課題を進める。塾によっては、Zoomなどでオンライン授業を行っているところもある。

 ちなみに、筆者が主戦場としている塾・予備校では、映像授業に加えて主に3種類の対応をとっている。一つは、生徒が映像授業を視聴した後に取り組んだ課題の一部を宿題として提出してもらい、講師は週1回程度出社して、添削したり電話フォローを行ったりしている。もう一つは、生徒が各教科、週1本の映像授業を視聴するのと並行して、Zoomでクラス単位に学習サポートを行っている。

 さらに、生徒が課題を進める中で質問したいことが出てきた際には、保護者が質問事項(テキストと画像)をサーバーにアップすると、そのお知らせが自動的に担当講師にメールで送られてくる。講師は画像をダウンロードした後、回答(テキストと画像)を作成してサーバーにアップすると、その内容が自動的に生徒側に送られる。いわばクローズドなストレージシステムであるが、休校要請後、急遽構築されたものである。平常時から、映像授業やe-ラーニングを併用できる状態にあり(各教室に個人用ブースあり)、ICT(情報通信技術)に慣れている社員スタッフが多いことが幸いしたようだ。

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