新型コロナウイルスの流行を受けて、家に籠りがちな日々が続いています。家にいる時間が長くなると、体を動かすことが少なくなり、ついつい余計にお菓子などをつまんでしまうものです。この数カ月で太ってしまったり、筋力が落ちたりしてしまったりした人も少なくないでしょう。
糖尿病で外来に通院している60代後半の男性患者さんは、もともとは運動好きでテニスなどを楽しんでいました。しかし、最近は一日中テレビを見て、合間にお菓子を食べるという生活になった結果、体重が少し増え、良好だった糖尿病のコントロールも悪化してしまいました。「それでもコロナにかかるよりはまし」と半ば諦めたようにおっしゃっていました。
糖尿病がなくても体重が増えて困るという人は多いでしょう。自粛生活が続くなか、新たな食事や運動の習慣を身につけた方がよさそうです。減量のための食事には、低糖質、低脂肪、その中間にあたる地中海食やDASH(高血圧予防食)などがあります。
こういったダイエット法が体重や血圧に、どの程度効果的であるかを調べた研究結果が4月、英国の医学雑誌に発表されました。過去の研究をまとめて評価したもので、全部で121研究、約2万2千人のデータを解析したものです。これによると開始から6カ月の時点では、通常の食事に比べ低糖質食、低脂肪食ともに4・5キロ程度の減量効果が認められ、血圧も低下しています。地中海食などでも、効果はやや劣るものの体重と血圧は下がっています。残念ながら1年たつとどの食事法でも2~3キロの体重減少まで戻ってしまい、食事法による差はほとんど見られませんでした。
ここから言えることは、減量のための食事法はどれも結果的にあまり差がない可能性が高いということです。もう一つ言えることは、ある程度体重を落とすことはさほど難しくないものの、減った体重を維持することは難しいということです。まずは体重を増やさないように早い段階から食事に注意を払い、また自宅やその周辺でできる運動を考えることが大切です。
(しもじま内科クリニック院長 下島和弥)