教育・子育て

「公園でサッカー」「店が営業」 住民イライラ、警察通報相次ぐ

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛が続くなか、外で遊ぶ子供などに危害が及びかねないケースや、警察に通報されるケースが相次いでいる。5日は子供たちの歓声が聞かれない静かな「こどもの日」となった。コロナ禍でストレスがたまるなか、将来を担う子供への視線が冷たくなっていないだろうか。

 4日午後5時ごろ、横浜市金沢区並木の公園を訪れた男性から「砂場にカッターの刃があった」と、近くの交番に通報があった。神奈川県警金沢署によると、現場にはカッターの替え刃が20本以上散乱しており、その一部は砂場に埋まっていたという。

 当時、公園では10人ほどの子供が遊んでいたが、けが人はいなかった。動機がコロナ関連かは不明だが、同署は威力業務妨害や暴行の容疑も視野に調べる。

 「うるさい。こっちはコロナでイライラしているんだ」。休校中の4月、友人数人で公園内のグラウンドでサッカーをしていた東京都内の男子高校生(16)は、高齢の男性から注意を受けた。その数日後には、「サッカーをやっている人がいる」と通報があり警察官が駆けつけた。

 その場には男子高校生ら以外に人はおらず、大声も出していなかった。「やめろと強制はできないが、注意をしてくださいといわれた」と警察官。「サッカーをしていただけで通報されるなんて、監視されているみたいで怖かった」。男子高校生は打ち明けた。

 「外出自粛の中、お前らどういうつもりじゃ!」。4月、大阪市阿倍野区の公園に男性の大声が響いた。

 当時、公園では30人近くの子供と親たちが集まり、遊具で遊んだり、かけっこしたりしていた。「親もどうかしてるわ! 緊急事態宣言が台無しや」。男性は険しい表情でこう言い放つと、自転車で立ち去った。こうしたケースは後を絶たない。

 各自治体が自粛要請を出して以降、警察には新型コロナウイルスに関する通報が急増している。東京都では2月中は24件だったが、3月中で192件、4月には1000件を超えた。

 休業要請や外出自粛をめぐる内容が目立ち、「公園で子供が遊んでいる」といったものや、換気のため窓や入り口を開けている店舗が「客の声がうるさい」と通報されるケースも。自粛の要請を全面的な「禁止」と混同したものもあった。

 こうした現状について、新潟青陵大大学院の碓井真史教授(社会心理学)は「普段とは違う状況の中で、日本全体が不安を抱えている。ストレスやイライラで疑心暗鬼になり、何か理由をつけて攻撃したいという気持ちが高まっている」と指摘。「落ち着いて『自分は自分のやるべきことをやる』という考えを持った方がいい」と訴えた。

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