教育・子育て

新型コロナで修学旅行の中止や延期相次ぐ 各校対応に苦慮

 新型コロナウイルスの感染拡大で、修学旅行の中止や延期を決める学校が相次いでいる。いつまで休校が続くのか先行きがわからない中で秋以降の実施を目指す学校が多いが、日程の調整や宿泊先の確保といった課題があり、学校現場からは「子供たちにとって大事な行事。中止は避けたいが、見通しが立ちにくい」と不安や困惑の声が上がっている。(木ノ下めぐみ)

 「高校生活で一番楽しみにしていたのに最悪や」。大阪府内の私立高校に通う3年生の男子生徒(17)は悔しそうに語る。2年生だった3月上旬にグアムへの修学旅行が予定されていたが、中止に。知らされたのは出発数日前で、中には「まさか…」と涙ぐむ生徒もいたという。男子生徒は「あのときは残念で仕方なかったが、(緊急事態宣言が全国に拡大された)今となっては中止も仕方なかった」と話した。

 兵庫県香美町の県立村岡高校も6月に沖縄への修学旅行を予定していたが、延期することに。秋の実施を目指したが、体育祭や文化祭などの学校行事が多数あるため、日程調整が難航。「コロナが秋に収束するか不安」(岡田厚志教頭)もあり、12月頃で調整を進めているという。行き先も費用を抑えるため、九州方面に変更した。岡田教頭は「宿泊先の確保もまだできておらず、具体的なことはこれから決める。急がなければ」と気をもむ。

 大阪府豊中市の市立第八中学校も5月の長野県白馬村行きを延期。六嶋明宏校長は「修学旅行は生涯心に残る大イベント。なるべく中止は避けたい」と話す。2学期が始まる8月下旬から体育大会がある9月下旬までの間で調整しているが、「春の修学旅行を延期する学校が集中する可能性がある」と危惧。学校再開を予定する5月7日に生徒たちに今後の方針を説明したいとしている。

 こうした状況を受け、文部科学省は今年度の補正予算案で、修学旅行の中止や延期に伴うキャンセル料の支援として6億円を計上。小中高校などの児童生徒1人当たり約1万2千円を上限に補助する。ただ、対象は3月に実施予定だった修学旅行のみで、4月以降は対象外。文科省は「今後、何らかの形で支援したいと考えている」としている。

 5、6月に集中

 公益財団法人「全国修学旅行研究協会」が平成30年度に関東、東海、近畿地方の公立中学校を対象に行った調査では、修学旅行の実施時期は5月が50・6%、6月が31・7%で、この2カ月で8割以上を占める。

 例年100万人前後の修学旅行生が訪れる京都市も、これからが受け入れの最盛期だ。京都観光推進協議会によると、日程振り替えの依頼が多数寄せられており、毎年5月にJR京都駅で行う修学旅行生の歓迎式についても中止の方向で検討中。担当者は「修学旅行は京都の魅力を知ってもらう大きなきっかけ。コロナが収束して安心安全になれば、また来てほしい」と話す。

 日本修学旅行協会(東京)の高野満博事務局長によると、一般の旅行客も多い秋に修学旅行が集中する可能性も出ており、「予約が取りづらくなりそうなことから、ふだんならほとんど実施されない卒業直前の3月上旬や夏休み中などで検討する動きもある」と指摘している。

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