また、今年1月には、大阪・吹田に「コグトレ塾」も誕生。小学校就学前の幼児から中学3年生が対象。医療機関ではないが、宮口教授の監修のもと、作業療法士らの指導で、1人ずつ知能検査や神経心理学検査を行った上で、認知能力の特徴に応じた1回90分のトレーニングを16回にわたって受ける。「友達付き合いで空気が読めずに困ってきた子や、頑張るのに学校の勉強についていけないと悩む子が通っている」と、指導にあたる桑原英生さんは話す。現在14人いる生徒の半数以上はいわゆる、障害の診断には至らないグレーゾーンの子供たちだという。
中学3年の長女がコグトレ塾に通う兵庫県内の主婦(46)は「いくら勉強しても結果が出ない。なぜ? とずっと親も本人も苦しんできた」と言う。平均より弱いとされた記憶する力を中心に週に2度、トレーニングしている。「本人も少しずつ自信がついてきたようだ。親も子供の特性を理解でき、見守る姿勢ができた」と話した。
医療少年院での取り組みに端を発したコグトレの広がりについて、宮口教授は「今まで認知機能の弱さが見過ごされてきた子供たちが大勢いる。そんな子供たちを助ける手だてになれば」と話している。
【用語解説】コグトレ Neuro-cognitive Enhancement Trainning(ニューロ・コグニティブ・エンハンスメント・トレーニング、神経認知機能の強化トレーニング)の略。神経心理学的リハビリテーションをもとに、発達途上の認知機能を強化するため、「覚える」「数える」「写す」「見つける」「想像する」の5分野の力をトレーニングしていく。