ヘルスケア

新型コロナの治療薬は「牛の尿」 インドで宗教活動家ら主張

 【シンガポール=森浩】世界各地で新型コロナウイルスの感染拡大阻止に向けた対策が練られる中、インドで新型コロナに「牛の尿が効果がある」という主張が相次ぎ、保健当局が否定に追われている。牛は国民の約8割が信じるヒンズー教で神聖な動物とされる。国内でヒンズー至上主義が台頭する中、民間療法の1つとして信じる人が少なからずいる状況だ。

 地元メディアによると、首都ニューデリーで14日、ヒンズー教徒のグループが200人規模の集会を開き、実際に飲んで効果をアピールした。指導者は新型コロナが「(卵や鶏肉、魚介類など)非ベジタリアン食品を食べる人を罰するために来た」とも訴え、ウイルスに許しを求めた上で、インド人が2度と肉を食べないことを誓ったという。

 ヒンズー至上主義を掲げる国政与党インド人民党(BJP)の地方議員らも効果を主張しており、東部コルカタではBJPの地方指導者が実際に住民に飲ませた例も報告された。

 市民に牛の尿などを高値で売りつける例も相次いでおり、“不安商法”と化している側面もある。保健当局は「コロナウイルスの治療に効果があるという主張に科学的証拠はない」と述べ、火消しに躍起だ。

 インド国内では16日までに110人の感染が確認され、2人が死亡した。

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