9月の台風15号で給食センターが甚大な被害を受け、満足な給食が提供されていない千葉県館山市。影響は子供だけでなく、弁当をつくらなければならない保護者にも広がっている。この状況は来年9月まで続くかもしれず、保護者からは「給食のありがたみが分かった」とのため息がこぼれている。(橘川玲奈)
市立中学校に3人の息子を通わせる女性(43)は9月から毎朝、3人分の弁当をつくっている。
市では市立の幼稚園、小学校、中学校の計23施設に約3600食の給食を提供。ご飯やパンなどの主食は県学校給食会から購入し、おかずのみを市給食センターで調理していた。
ところが、台風15号で給食センターが使用不能に。市では希望者に「簡易給食」として、ご飯かパンに牛乳、なめたけやふりかけなどを提供しているが、これだけでは栄養が足りない。おかず持参もしくは弁当持参も認めており、女性は弁当を選択した。
「簡易給食を希望すると、給食費で中学生は月に3千円かかる。でも、結局はおかずを持たせなければならないので、弁当との手間の違いはご飯を詰めるだけ。息子たちも献立表を見て『これならいらない』と言っている」
ただ、働きながらの弁当づくりは時間的に大変だ。仕事が早番の日は午前5時半には自宅を出るため、午前4時半に起きて弁当をつくるという。
女性は「遅番の日はもう少し時間に余裕があるが、さすがに毎日つくるのはきつい。弁当は給食に比べてお金もかかる」と話した上で、「改めて普段の給食のありがたみが分かった」とため息をついた。
給食は保護者にとっても重要なもの。ベネッセ教育情報サイトが平成24年、高校生までの子供を持つ保護者に給食と弁当はどちらがよいかについてのアンケートを実施したところ、9割の保護者が給食と回答。理由は「弁当をつくる手間がかからないから」などが挙げられた。
一刻も早い給食の完全復活が望まれるが、新しい給食センターは来年9月のオープンの予定、市の担当者は「新年度のことは決まっていないが、新しい給食センターができるまでは、この状態が続くのではないか」と話している。