近年は、菜食主義やお肉は食べないという人も珍しくなくなりました。そのスタイルは、動物由来のものは一切口にしないというものから、魚は食べるけれど肉は食べないというものまでさまざま。高齢の方には、ご飯とみそ汁と漬物があれば十分で、それに野菜の副菜を付ける程度という食事をしている人も少なくありません。
ある時、健康診断で貧血を指摘されたという40代の女性が、私のクリニックを受診しました。以前から貧血を指摘されることが多く、食生活について尋ねると、肉や魚がもともと好きではなく、最近ではほとんど口にしないということでした。
こういった菜食が実際に心血管病の発症に影響があるかどうかを観察した研究結果が今年9月に報告されました。約5万人の英国人を対象に、食事スタイルの違いにより心血管病の発症に差があるかどうかを18年間観察したものです。食事スタイルは菜食、魚食(魚は食べるけれど肉は食べない)、肉食(魚や乳製品、卵を食べる場合も、食べない場合もある)という3つに分かれています。結果は肉食に比べ菜食と魚食では虚血性心疾患の発症がそれぞれ22%、13%少なかった一方で、脳卒中に関しては、菜食は肉食に比べ20%多く、これは主には脳出血によるものでした。