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スマホ依存は「情報習慣病」 東大教授が指摘した歴史的性質 (1/4ページ)

 インターネットに没頭してしまう、メールやSNSを神経質なほど気にする。少し前まで存在しなかった道具が、私たちの生活パターンまで変えている。依存症に陥る若者も多い。言葉の起源を研究する東京大の岡ノ谷一夫教授は「情報習慣病」と呼んでこの現象を説明する。太古の人類が生きるために身に付けた性質をいまもなお、現代人が受け継いでいるのだという。(聞き手 坂本英彰)

 --電車に乗るとみなスマホを触っているという風景が日常化してきた。この現象をどう考えればいいのでしょうか

 「それにはまず生活習慣病のことを考えてください。私たちホモ・サピエンスが出現し、進化する過程において食料はたいてい不十分だった。だから目の前に甘いものや脂っこいものがあれば空腹か否かに関係なく、とにかく食べるという行動様式が身に付いた。糖質や脂質は非常に大事な栄養分であり、そうする方が生存において適応的で子孫を残す可能性が高かったのです。ところが農業が始まり、産業革命も起こり、食糧供給が十分になっても、甘味や油脂を好む傾向はなかなか変わらない。食べるものがありすぎるほどある現代では、これが生活習慣病の一因にもなるわけです」

 --身についた性質はなかなか変えられないのですね

 「生活習慣病と同じ論理が、コミュニケーションにも当てはまると思います。ホモ・サピエンスは狩猟採取生活であった期間が長く、集団での社会生活は非常に大事でした。私たちがいま使っているような、複雑な言語を使い始めたのはたぶん6万年前ごろでしょう。集団で狩りをする彼らにとって、どこが危ないとか、どこで木の実が採れるといった情報は非常に重要だったのです」

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