クラッチは足で操作せず
高齢者のブレーキペダルの踏み間違いに端を発した「ペダル操作議論」は、白熱したまま沈静化の気配がない。それも道理で、こうしている間にも傷ましい事故は起きている。犠牲者が増えている。議論白熱、アイデア百出なのは、一刻も早い決定的な解決策を求めているからである。
先日、私がここで発表した「左足ブレーキのススメ」も侃々諤々、論争の火種になった。「大賛成です」とおっしゃる方からの支持も多かった一方で、「それはプロドライバーだから可能なこと」との疑問も突きつけられた。
あらためて言えば、「すぐに左足ブレーキを徹底させろ」としたわけではなく、「自動車教習所の段階で左足ブレーキを感覚に叩きこめば、それほど難しいことではないよね」というある種の長い目でみた控えめな提案である。そもそも暗く目の届かない足元のペダルを右足だけで踏み分けることのほうが難易度が高いような気がするからだ。
ちなみに、日本最高峰自動車レース「スーパーフォーミュラ」のクラッチ操作は「指」でこなしているのをご存知だろうか。クラッチペダルは、足元にはない。ステアリングの裏側にある“羽”を器用に操作しているのである。
詳細に説明するならばこうだ。
ステアリングの裏側の、ちょうど薬指が触れる辺りに、500円玉サイズの小さなパドルが組み付けられてある。「クラッチペダル」ならぬ「クラッチパドル」だ。左右に2枚ある。