経済インサイド

安倍首相イチ押しの「予防医療」、財源めぐり早くもさや当て (2/3ページ)

 「本日は全世代型社会保障改革の大きな柱である病気予防や介護予防についての保険者のインセンティブ(動機付け)強化について議論を行いました。これらの課題は約20年前に私が自民党の社会部会長に就任したときから考えてきた課題であり、20年来、私も執念深く取り組んできましたが、今回はぜひ実現したいと考えています」

 成長戦略の実行計画に

 3月20日に首相官邸で開かれた政府の未来投資会議の締めくくりで、安倍首相はこう述べ、予防医療の推進を実行する強い決意を表明した。同日の未来投資会議では、国民健康保険を運営する地方自治体ら公的医療保険の保険者の意欲を高めるため、予防医療に積極的な自治体へ交付金を配分する制度の拡充などを具体的に検討していくことで一致。ウエアラブル機器といった最新技術を持つ民間企業などとの連携の推進も確認した。

 この結果、これらの予防医療に関する施策が成長戦略の実行計画に盛り込まれるのは確実となったが、問題は実行するための財源だ。予防医療で社会保障費を抑制できるかについては両説あり、今のところは新たに財源を確保する必要がある。

 医療系団体の筆頭である日本医師会の横倉義武会長は、3月31日の臨時代議員会で「健診データの一元化や(官民連携の)日本健康会議の健康寿命の延伸に向けた取り組みの結果として、妊娠・出産から高齢者に至るまでの切れ目のない全世代型の社会保障を達成しなければなりません」と述べ、予防医療を推進する安倍首相と歩調を合わせる考えを強調。これに先立つ3月27日の記者会見では「社会保障費とは別財源をちゃんと確保してほしい」とも語り、必要財源は既存の社会保障費とは切り離すよう求めた。

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