通常の伝え方では理解が難しい知的障害者を対象に、ニュースや行政文書、漫画などを分かりやすく作り替える取り組みが市民団体や行政、学者らの間で広がっている。スロープの設置など身体障害者のバリアフリー化は進んできているが、知的障害者へのバリアフリーの重要性はまだ十分認識されておらず、対策が遅れているのが実情だ。
市民団体ら取り組み
「1月(がつ)7日(なのか)から、『出国税(しゅっこくぜい)』が始(はじ)まりました。出国税(しゅっこくぜい)とは、日本(にっぽん)から外国(がいこく)へ行(い)く人(ひと)が一人(ひとり)1000円(えん)のお金(かね)をはらうものです」
一般社団法人「スローコミュニケーション」(横浜市)がホームページに載せている分かりやすいニュースの一例だ。
「一文は短く」「二重否定や比喩は使わない」といったルールを定め、漢字にルビを振る。読みやすいように改行を多くし、ゆっくりした音声読み上げ機能も付いている。
スローコミュニケーションは、大学教員や新聞記者らが「知的障害者が社会参加や自己決定できるように、必要な情報を届けよう」と3年前に設立された。福祉サービスの平易な契約書などを作る事業にも取り組んでいる。