2020年東京五輪・パラリンピックで、選手村地区のエネルギー事業に水素を供給する計画が進められるなど、水素をエネルギーとして利活用しようとする動きが広がっている。利用時にCO2(二酸化炭素)を排出しない水素エネルギーは、次代を担うエネルギーとして注目されている。
水素は地球上で最も軽い気体。大気中に存在することはほとんどないが、酸素と結び付き、水として存在する。水素をエネルギーとして使うには、エンジンなどで燃焼させる方法や、燃料電池で電気をつくる方法などがある。燃料電池の仕組みは、水素と空気中の酸素を利用して、水の電気分解の逆の化学反応によって発電する。
活用事例として知られるのが、FCV(燃料電池自動車)で、燃料の水素と空気中の酸素の化学反応によって発電した電気でモーターを回して走る。家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」は、都市ガスやプロパンガスなどから取り出した水素と空気中の酸素の化学反応によって発電し、その際に発生する熱で湯を沸かす。ニッケル水素電池は、水から分離した水素がニッケル中の金属に吸収されることで充電し、その逆反応で放電。ロケットの燃料には液化水素が使われる。
エネルギーのほかにも、化粧品や洗剤、香料、ビタミン剤などの原料の一部として、水素は身近な製品にも使われている。(取材協力 堺市水素エネルギー社会推進協議会)