まさかの失注、企画潰れ… まだ「驚異のプレゼン」で消耗しているの? (2/3ページ)

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 元採用担当者の視点から言うならば、内定辞退というのもそうだ。「御社が第一志望です!」「絶対に、御社に行きます」などと言っていた学生から「お祈りメール」ならぬ「逆お祈り電話」がかかってくる…。

 この手の話をすると「最後の押しが弱かった…」など、これまた雑な反省が行われたりする。違う。原因は一つではない。予想外の変化というものもある。ただ、ビジネスパーソンとして意識したいのは「コミュニケーションのズレ」である。特に、最後の方になって破局に至るのは、実はコミュニケーションが最初からズレているからではないだろうか。

 ジョブズのプレゼンも、TEDも目の前でやられたら、ウザい

 見直すべきものの一つは「プレゼン」だ。恋愛においては自己紹介が、営業においては初回訪問での商品・サービスの説明や、その後の企画提案が、採用においては求人広告や会社説明会などの最初の接点がズレていた可能性がある。そう、最初からズレているのだ。

 「いや、最初から気合いを入れて説明したつもりなんだけど…」

 というアナタ。その過信は大間違いだ。「伝える」と「伝わる」は違うのである。「ちゃんと伝わったのか?」と反省したことはあるだろうか?

 私は、AppleのCEOだった故スティーブ・ジョブズの「驚異のプレゼン」や、TEDの「悪影響」が気になっている。もちろん、これら自体を否定するつもりはない。聴衆をとりこにし、巻き込む、あそこまでのプレゼンは、私には無理だ。YouTubeなどを通じて、世界中の人の間で共感を呼んだものを全否定するつもりはない。

 ただ、著名人が、大会場の聴衆に、さらにはネット中継を通じて世界中の人に語りかけるプレゼンと、一会社員の私達が、小さな会議室でするプレゼンは根本的に違うのだ。一方通行で語りかけても意味がないし、ましてや、劇的な演出をされても困るのだ。

これは仕事術について考えるときの基本なのだが…