グーグル社員"いい会社だから辞める"理屈 (1/4ページ)

 転職市場が沸騰する中、安易な理由で会社を辞める人も増えている。自分に合わないと不平不満ばかりを抱いて飛び出す人がいる一方、辞めたけれどいい会社だったと肯定的に評価する人もいる。人事ジャーナリストの溝上憲文氏は、「その差は退職理由に端的に表れている」と語る。順調なキャリア形成をする人の思考とは--。

居心地が良い会社をあえて辞める人たちの「論理」

 人手不足もあって求人数が増加し、転職者数も年々増えている。総務省によると、2017年の転職者数は311万人。15年は299万人、16年は307万人と右肩上がりだ。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/_ultraforma_)

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 そもそもなぜ転職するのか。人それぞれの事情があるだろうが、基本的には今の会社になんらかの不満があると考えられる。

 エン・ジャパンのアンケート調査(2016月1月9日~1月15日)によると、退職理由で最も多かったのは「人間関係が悪かった」の25%。2番目が「評価・人事制度に不満があった」の12%。続いて、「給与が低かった」「社風や風土が合わなかった」「残業・休日出勤など拘束時間が長かった」が11%で並ぶ。

 このように社風が合わない、上司と合わない、給与が低い、残業が多い、といった定番的な「不満」で転職する人が多いが、中には居心地が良いのに転職する人たちもいる。

 ヴォーカーズが「退職者が選ぶ『辞めたけど良い会社ランキング2018』」(※)というユニークな調査を発表した。

 ※退職者からの投稿が30件以上あった124社1万2835件のクチコミを、ヴォーカーズが集計しランキング化した。発表は2018年9月18日。

 ■ 退職者が選ぶ「辞めたけど良い会社ランキング2018」

 1 グーグル

 2 プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)

 3 マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社

 4 ゴールドマン・サックス証券

 5 リクルートホールディングス

 6 ボストンコンサルティンググループ

 7 三菱商事

 8 三井物産

 9 アステラス製薬

 10 キーエンス

 11 旭化成

 12 住友商事

 13 スターバックス コーヒー ジャパン

 14 千代田化工建設

 15 コスモスイニシア

 16 伊藤忠商事

 17 トヨタ自動車

 18 野村総合研究所

 19 JPモルガン証券

 20 アサヒビール

「恵まれすぎている環境でハングリーさが削られる」

 ランクインした企業は誰もが知っている優良企業ばかりである。総じて給与が高く、福利厚生や教育投資や職場環境の良さも抜群。決して不満タラタラで辞めたわけではない。

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