エクソンは遺伝子の部品のようなもの。スキップは「飛ばす、抜かす」といった意味だ。核酸医薬品を投与し、遺伝子の中の異常なエクソンを飛ばして遺伝情報を読み取ると、完全ではないが機能するタンパク質ができる。病気の進行前に投与すれば「治すことはできないが軽症にすることはできるのではないか」(武田さん)との戦略だ。
どのエクソンに異常があるかは患者によって異なる。武田さんらNCNPチームは、その一つをスキップする核酸医薬品を日本新薬(京都市)と共同で開発。症状を再現した犬に投与したところジストロフィンが作られ、歩行機能も保たれた。
25年から、6~16歳の患者10人を対象に、安全性を確認する第1段階の治験を始めた。
週1回、12週間にわたり点滴で投与した結果、深刻な副作用はなく、安全性に問題なしと判断された。そこで患者数と投与量を増やし、投与期間を延ばした第2段階の治験に進み、有望な結果を得て詳細を解析中だという。
第一三共(東京)も、別のエクソンを標的にした第1段階の治験を終了。今年4月に「安全性は確認できた」との結果を発表している。
◆迅速に募集
NCNPチームの治験では、患者を迅速に募集できる、筋ジスなどの患者登録システムが活用された。英語名の頭文字から「Remudy(レムディー)」と呼ばれる。