文科省は改革歓迎
高校現場も視線を注ぐ。「学力育成のため受験で多くの科目を課す国の入試制度改革の方向性にも沿っている。今後の進路指導にも影響が出るのではないか」。前全国高等学校長協会長で都立八王子東高の宮本久也校長はこう話す。
早大政経学部の入試改革は今の高校1年生以降が対象。進路指導経験が長い都立高校教諭は「2年時から文系と理系に振り分ける高校では今後、迷った生徒が理系を選ぶケースが出てくるかもしれない」との見方を口にした。
数学の必須化だけでなく、記述式解答を含む日英両言語の長文読解問題が課されることで難易度が上昇するとの観測もあり、塾業界では「難化する大学一般受験を避け、早稲田の付属中学や高校に子供を入れようとする保護者が増えるのではないか」との見通しも出始めている。
文部科学省内では早大政経学部の入試改革を歓迎する声が多い。人工知能(AI)時代を見据え大学での文理融合教育を目指しているからだ。ある幹部は「多くの大学が(早大政経学部の入試改革に)追随するような仕組み作りを検討したい」と話し、私大受験での数学必須化に期待した。
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早稲田大学政治経済学部 明治15年に創設された東京専門学校(早大の前身)で政治経済学科として設けられ、昭和24年に学部となる。現在は政治、経済、国際政治経済の3学科で構成。平成29年5月時点の学生数は約4200人で、教育学部に次いで2番目に多い。