小さな「成功体験」を積み重ねる
では、どのようにして安全基地をつくり出せばいいのでしょうか。
「小さな成功体験から始めてみる」ということを、私はおすすめしています。
あまりに大きな成功を見据えてしまうと、プレッシャーに押しつぶされたり、尻込みしてしまうときもあるでしょう。そこで、たとえ小さな成功でもいいので、「サクセスケース(成功体験)」を積み重ねていくというのが、安全基地をつくり出す重要なポイントになってくるのです。
もし、いきなり仕事でやるのが難しかったら、まずは日常の中で小さな成功体験を味わってみてはいかがでしょうか。
自分の自由時間のなかで、何か小さなプロジェクトを立ち上げ、自分で計画して、それを実行することの喜びを経験するというところから始めるのがいいでしょう。
デートや旅行の計画などは、小さな成功体験を積み重ねるうえで、最高の教材になるのではないでしょうか。
そのような喜びの経験が安全基地となることで、自分の創造性の可能性がどんどん広がっていき、脳リミットをはずして新しいことにチャレンジできるようになっていくのです。
茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)
脳科学者。1962年生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、同大学院理学系研究科修了。『脳と仮想』(新潮社)で第4回小林秀雄賞受賞。『すべての悩みは脳がつくり出す』(ワニブックスPLUS新書)など著書多数。新著『脳リミットのはずし方』。
(脳科学者 茂木 健一郎 写真=iStock.com)(PRESIDENT Online)