JALの地上職員は小さな「っ」を使わない “究極のサービス”はこうして生まれた (1/5ページ)

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 破綻から奇跡の復活を遂げた日本航空(JAL)。『JALの心づかい』(河出書房新社)の著者・上阪徹氏は「好調な業績を支えているのは、サービス力の高さ。特にグランドスタッフ(地上職員)の優秀さは、他社を大きく上回る」という。実は地上職員の訓練期間は2週間。そんなわずかな期間で、質の高いサービスを身につけられるのは、なぜなのか--。

 見逃されがちな「グランドスタッフ」のサービス向上

 取材であちこちを飛び回るという仕事柄、飛行機を利用する機会は少なくないが、私は家族との旅行では必ずJALを利用している。理由は、まだ子どもが幼かった頃、よく行っていた海外旅行で、JALのチェックインカウンターのグランドスタッフにとてもお世話になったからだ。

 私に限らず、小さな子ども連れの旅行はひと苦労である。考えなければいけないことがたくさんあり、不安といつも隣あわせ。そんなとき、いつも笑顔で的確な対応をしてくれたのが、JALのグランドスタッフだった。

 キャビン・アテンダントのサービスは常に注目され、メディアの取材も多く、関連の書籍もたくさん出ている。「でも、グランドスタッフもとても素晴らしいサービスをしてくれているのになぁ」という気持ちをずっと持っていた。

 そして、どうしてこんなに感じがいいのか。どうすればこんなサービスが育てられるのか。とても不思議に思っていたのである。

 「人の印象は一瞬にして決まる」とよく言われるが、チェックインや搭乗ゲートなど、グランドスタッフに許されている時間は、ほんのわずか。しかも、最初に良くないイメージがついてしまうと、挽回のチャンスはほとんどない。場合によっては、わずか数十秒でサービスをしないといけないのだ。そこで「いいサービスをしてもらえた」「好印象だった」と思ってもらうのが、いかに至難の業か、想像はつく。

究極のサービス、といえるのではないか