増える「スメハラ」対策に悩む経営者 “加害者”に自覚なし 対応次第で人権侵害のおそれ (1/3ページ)

マンダムが、企業向けに臭いのエチケットなどを指導するセミナー(同社提供)
マンダムが、企業向けに臭いのエチケットなどを指導するセミナー(同社提供)【拡大】

 セクシャルハラスメント、パワーハラスメントに続いて、臭いで周囲に不快な思いをさせる「スメルハラスメント」(スメハラ)の対策に乗り出す企業が増えてきた。人事評価に「臭い」の項目を設ける取り組みも登場。ただ、体質にも関係する臭いを「不快だ」と指摘することは人権侵害につながる恐れもあり、対応に悩む経営者は多い。(板東和正)

 悲痛な声

 「誰にも分かってもらえず、苦しい…」

 今年3月、ハラスメント防止の研修などを行う一般社団法人「職場のハラスメント研究所」(東京)に、ある企業の事務職の女性社員から、スメハラの相談が寄せられた。

 横の席にいる男性上司の体臭やたばこの臭いが鼻につき、仕事に支障が出ている。タイミングを見計らって、本人に臭いをやんわり指摘したが、自覚がなく取り合ってもらえない。同僚や他の上司に相談しても理解してもらえず、孤立感を感じている-。

 同様の相談は3年ほど前から、研究所に寄せられるようになったという。

 スメハラは、パワハラやセクハラと異なり法律で規制されておらず、多くの場合“加害者”には悪意どころか自覚もない。しかし「臭いの度合いによっては、周囲に我慢できないほどの不快感を与える」と研究所の金子雅臣所長は指摘する。被害の声が伝わりにくく、スメハラを苦に退職に追い込まれた例もあるという。

覆面調査で臭いを根絶