ボロボロの家で“無収入の子供3人”と暮らす老後 それでも前向きになれた理由 (2/3ページ)

 「人並み以上の贅沢をしなければ、自分の年金を合わせると老後をどうにかやっていけそうです。障がい年金を受給しない長男は、節約して一生懸命協力するからと言ってくれ、将来の落ち着いた暮らしが見えてきました」

 老後の展望が開け、子どもたちが住みつづけられるよう家を建て直す決心もついた。2000万円ほどかかる費用は自己資金でまかなう。子どもたちは住宅展示場を見学し、新しい家の間取りなどいろいろ話し合っているという。

 「これまでは料理をつくる気にもならない汚い台所でしたが、娘たちはお金を使わず、美味しいものをつくったり、部屋をきれいに飾って快適に暮らそうと張り切っています。子どもたちにとって、親の私が働けないことを許容したということで、心穏やかに暮らせるようになったことはなによりです」

 郊外に住むことは「ありえない」

 子どもたちが働けない辛さは変わらないものの、和田氏にとって嬉しい状況変化もあった。いずれ自宅を処分して、介護サービス付きのシニアマンションに移るしかないと考えていたが、子どもたちは「自宅でお父さんの老後の世話をするから、絶対に家を住み替えないでほしい」と頼み、あきらめていた介護や看取りまでしてくれると言ってくれたことだという。

 子どもに老後を救われたのは、埼玉県在住の川崎和夫氏(仮名・62歳)だ。川崎氏は41歳で会社勤めを辞めて独立。夫婦で家具・インテリアの輸入販売を手がけ、一時は羽振りもよかった。が、リーマンショックの影響で仕事は行き詰まり、自己破産した。

元モデルだった浪費家の妻の見栄