日本で離婚するのは、結婚5年以内の夫婦が最も多い。アメリカでは子どもを持たないまま20代で離婚する高学歴カップルを「スターター・マリッジ」と呼ぶ。日本でも同様の事例が増えつつあり、「初婚は失敗して当たり前」と話す女性もいる。いま「結婚」をめぐって、なにが起きているのか。家族社会学者・永田夏来さんの著書『生涯未婚時代』(イースト新書)から、離婚経験者のエピソードを交えて紹介する。
※以下は永田夏来『生涯未婚時代』(イースト新書)の第5章からの抜粋です。
スターター・マリッジに見るこれからの結婚と幸福
アメリカのジャーナリスト、パメラ・ポールさんは『「短命結婚」の時代 スターター・マリッジ症候群』(原書房)にて、2000年代にアメリカで注目を集めたという新しいタイプの結婚、スターター・マリッジについて書いています。
恋愛にも積極的で高学歴のパワーカップルが大学卒業後20歳代のうちに結婚するが、関係がうまくいかず、子どもを持たないまま5年以内に離婚する。これが典型的なスターター・マリッジです。ポールさんの取材によれば、1965~78年生まれのジェネレーションXと呼ばれる世代によく見られるものだそうです。女優のアンジェリーナ・ジョリーさんやドリュー・バリモアさんなどがスターター・マリッジの当事者として紹介されています。
5年以内に離婚するスターター・マリッジを「軽はずみな結婚」だとみなしてしまうのは簡単なことです。しかし、ジェネレーションX世代は結婚や家族に保守的な考え方を持っていて、「まさか自分が離婚するなんて思ってもみなかった」「真剣に交際して結婚したが、若さもあって見通しが甘かった」と語るケースが多いとポールさんは言います。