このようにしてリクルーターが有力な学生を絞り込んだあと、学生はまずリクルーターと1次面接を行い、ほぼ100%の割合で2次面接に進んでいく。リクルーターの“お墨付き”になった学生は、よほどの問題がない限りは順調に役員面接まで進み、内定を得るのだという。
リクルーター制度の利点は、学生の適性と企業とのミスマッチを未然に防げることだ。自身も早稲田大学アメリカンフットボール部出身だというアスリートプランニングの小笠原さんは、次のように分析する。
「リクルーター制度に限らず、体育会出身者の強みの一つには、企業に直結した人脈があります。先輩から、その会社で働くことの利点や、辛い部分など、会社説明会よりもリアルな話を具体的に聞けるので、より現実的な想像をしたうえでその会社を志望することになる。すると、入社後に感じるギャップも減ります。企業にとっては、退職のリスクを減らすというメリットがある。よって、企業内に先輩がいる学生の採用について、ある程度の信頼感を持っているのです」
また、サッポロビールでは、一昨年から事務系総合職で「オンリーワンコース採用」を実施しているという。これは、一つでも秀でた成績や体験を持つ学生への門戸を開いたものだ。「通常コース」という一般的な入社試験とは別にコースが設定され、スポーツ、文化・芸術・学業、社会的活動、異文化体験のうちから選択して、自身の経験をアピールすることができる。
「本年入社の例では、事務系総合職でで採用された45名のうち、10名がオンリーワンコース採用でした。経験として、スポーツの割合は高いですが、企業との共同開発や花火師など、幅広い経験を持った人財が集まっています」(萬谷さん)