評価の高い運動部に共通しているのは、団体競技であるということだ。団体競技を経験することは、就職にどのように有利になるのか。アスリートプランニングで企業への営業を担当する小笠原和也さんは言う。
「団体競技を経験してきた人の強みは、瞬発的なコミュニケーション能力を発揮できるところにあります。面接の場では、30分程度の面接時間のなかで人を評価しなければならない。となると、瞬発的に切り返しができたり、その場に応じた対応ができる人のほうが採用にいい影響を与えることは間違いない。団体競技経験者は、周囲の人間とコンタクトをとりながら競技してきた経験が生きます」
ところで、近年、採用方法にも変化が見え始めた。そのうちの一つが、「リクルーター制度」だ。リクルーターとは、人事担当者以外で、就活生とコンタクトをとる社員のことで、主に就活生と同じ大学出身者や、就活生と年齢が近い若手社員が担当するケースが多い。OB・OG訪問は学生側からのアプローチである一方、リクルーターによる訪問(面接)は企業側からのアプローチとされている。これが、「リクルーター制度」だ。00年代半ばには一時下火になっていたが、再びこの制度が注目を集め始めている。
まず、リクルーター制度は、実際にどのように行われるのか。都内有名私立大学の体育会テニス部出身者が、現場での様子を話してくれた。
「テニス部に人一倍愛着を持っているOBが、卒業後も頻繁に現役の学生の練習に顔を出して、練習に参加したり、コートに立って学生の様子を見ていたりしました。伝統的に、このOBが勤めている某大手銀行には、うちの大学の採用枠があることは学内でも有名。気に入った学生にはリクルーターから声をかけていましたし、一方で学生からリクルーターに自分を売り込むケースもありました」