例えばあなたが営業マンで、所属している事業部の新商品を顧客に提案しているとする。一メンバー視点で言うならば、その受注が取れるかどうかしか考えないことだろう。しかし、上司視点ならば、違う。その案件が受注できるかどうかだけでなく、仮に受注し成果が出たならば、顧客の同業他社や、他業界にも展開し、一大市場を作れるのではないかと考える。そのために社内外でセミナーを行う必要がないかとか、営業ツールの整備を考えるようになる。
あるいは、同僚が休みがちになっているとしよう。上司視点ならば、事業部の士気が下がってないか、目標に対する疲弊感が漂ってないかと考える。つまり、点を見るだけでなく、線や面を見て俯瞰して見れるようになるわけだ。
「いや、メンバーのサポートを担うのは上司だろ」と思う人もいるかもしれないが、スペランカー化する社会においては、チームワークが必要なのだ。スペランカーは孤独な戦いだった。しかし、仕事には仲間がいる。上司をスペランカー化させないためにも、上司のマネジメントという視点をもっておこう。
常見陽平のプロフィール:
1974年生まれ。身長175センチ、体重85キロ。札幌市出身。一橋大学商学部卒。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、コンサルティング会社、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。長時間の残業、休日出勤、接待、宴会芸、異動、出向、転勤、過労・メンヘルなど真性「社畜」経験の持ち主。「働き方」をテーマに執筆、研究に没頭中。著書に『僕たちはガンダムのジムである』『エヴァンゲリオン化する社会』(ともに日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)『普通に働け』(イースト・プレス)など。