□スパイダー・イニシアティブ代表 森辺一樹
誤解を恐れずにあえて言おう。日本人の多くは白人に対してコンプレックスを抱いている。
例えば、外国人に道を尋ねられたとき、話しかけてくる相手が白人とアジア人では、日本人の反応が異なることが往々にしてある。
アジア人ならば、相手が言っていることが分からなくても自分が悪いという気持ちにはならず、「日本語で話してくれないと分からないよ」という気構えで応じることができる。
一方、相手が白人だった場合は相手の言っていること(おもに英語)が分からないことに動揺し、「分からない自分が悪い」といった感覚に襲われがちだ。
これこそが、日本人が抱える「白人コンプレックス」である。私はこれがビジネス上でたいへん問題だと感じている。
「白人コンプレックス」は英語ができるか否かという問題と必ずしもイコールではない。もちろん、世界共通語である英語はできるに越したことはない。しかし、英語ができないとしても、そんな自分を卑下する必要など全くないのだ。
日本人相手に日本語を話しているときには堂々としている人が、白人相手に苦手な英語だと人が変わったように小さくなってしまうのをよく見かける。これがプライベートならまだしも、ビジネスなら完全にアウトだ。日本人はアジア人には強く、白人に対してもオール・ジャパンなどといって束になると俄然(がぜん)強くなるのに個になるとあまりにも控えめだ。