なぜ?月収3万円でもスーツの値段は20万円! コンゴ紳士のファッション哲学 (2/3ページ)

コンゴからやってきた「世界一おしゃれで平和な紳士」といわれる「サプール」。(サプール名で)カンガ・エリックさん=大阪市中央区の大丸心斎橋店(南雲都撮影)
コンゴからやってきた「世界一おしゃれで平和な紳士」といわれる「サプール」。(サプール名で)カンガ・エリックさん=大阪市中央区の大丸心斎橋店(南雲都撮影)【拡大】

  • コンゴからやってきた「世界一おしゃれで平和な紳士」といわれる「サプール」。カンガ・エリックさん=大阪市中央区の大丸心斎橋店(南雲都撮影)
  • 心斎橋筋商店街を練り歩いたコンゴからやってきた「世界一おしゃれで平和な紳士」といわれる「サプール」。(サプール名で)イヴ・サンローランさん=大阪市中央区(南雲都撮影)
  • 「サプール」のイムィエゴ・セヴランさん(左)とイヴ・サンローランさん=大阪市中央区の大丸心斎橋店(南雲都撮影)
  • 心斎橋筋商店街を練り歩いたコンゴからやってきた「世界一おしゃれで平和な紳士」といわれる「サプール」。手前がムィエゴ・セヴランさん=大阪市中央区(南雲都撮影)
  • 心斎橋筋商店街を練り歩いたコンゴからやってきた「世界一おしゃれで平和な紳士」といわれる「サプール」。手前右から(サプール名で)イバラ・ルノーさん、イヴ・サンローランさん=大阪市中央区(南雲都撮影)
  • 「サプール」カンガ・エリックさんの足下=大阪市中央区の大丸心斎橋店(南雲都撮影)
  • 「サプール」カンガ・エリックさんの時計や袖=大阪市中央区の大丸心斎橋店(南雲都撮影)
  • スーツの中を開いてみせる「サプール」のイバラ・ルノーさん=大阪市中央区の大丸心斎橋店(南雲都撮影)
  • 「サプール」のイバラ・ルノーさん=大阪市中央区の大丸心斎橋店(南雲都撮影)
  • 「サプール」のイバラ・ルノーさん=大阪市中央区の大丸心斎橋店(南雲都撮影)

 内戦時、庭に穴掘って服を埋めたが…平和でなければ楽しめない

 セヴランさんは父もサプールでその姿に憧れ、おしゃれを磨いてきた。だが1990年代に内戦が勃発。家を離れることになったとき、それまで買い集めた洋服や靴を盗難や焼失から守ろうと、大きな布に包んで庭に穴を掘って埋めたという。3日ほどで家に帰れると思っていたら、実際に家に帰ったのは1年以上経ってから。掘り出した洋服はぼろぼろに崩れ、靴は変色して朽ちていた。「戦争は何も生み出さないね」。

 終戦後、再びお金をためてスーツやネクタイ、靴を買った。内戦でばらばらになった仲間も少しずつ戻り、サプールは復活をとげた。「平和でなければファッションは楽しめない。もちろん、サプールを維持することもできないのです」と語る。

 コンゴの人たちはヨーロッパに職を得ている人も多く、コンゴ国内で扱う洋服もイタリアやフランスのものが多い。サプールが身を包むスーツも、憧れのヨーロッパメードがほとんどだ。そんな中、カンガ・エリックさん(37)は、コンゴに店を持つファッションデザイナー。この日は、自身がデザインした真っ白のスーツを着用していた。

襟や裾には青いサテン素材をあしらい、シャツはピンク