内戦時、庭に穴掘って服を埋めたが…平和でなければ楽しめない
セヴランさんは父もサプールでその姿に憧れ、おしゃれを磨いてきた。だが1990年代に内戦が勃発。家を離れることになったとき、それまで買い集めた洋服や靴を盗難や焼失から守ろうと、大きな布に包んで庭に穴を掘って埋めたという。3日ほどで家に帰れると思っていたら、実際に家に帰ったのは1年以上経ってから。掘り出した洋服はぼろぼろに崩れ、靴は変色して朽ちていた。「戦争は何も生み出さないね」。
終戦後、再びお金をためてスーツやネクタイ、靴を買った。内戦でばらばらになった仲間も少しずつ戻り、サプールは復活をとげた。「平和でなければファッションは楽しめない。もちろん、サプールを維持することもできないのです」と語る。
コンゴの人たちはヨーロッパに職を得ている人も多く、コンゴ国内で扱う洋服もイタリアやフランスのものが多い。サプールが身を包むスーツも、憧れのヨーロッパメードがほとんどだ。そんな中、カンガ・エリックさん(37)は、コンゴに店を持つファッションデザイナー。この日は、自身がデザインした真っ白のスーツを着用していた。