【IT風土記】京都発、ICT授業の効果は?初の“見える化”にチャレンジ (2/2ページ)

ICT機器を使った公開授業(京都市立西京高校附属中)※写真は京都市教育委員会提供
ICT機器を使った公開授業(京都市立西京高校附属中)※写真は京都市教育委員会提供【拡大】

  • 実験を主導した京大学術情報メディアセンターの美濃導彦教授(左)と、分析を担当する飯山将晃准教授

 研究の概要はこうだ。生徒1人に1台、タブレットPCを配布して「デジタル小テスト」の形で宿題を出す。それを生徒が自宅に持ち帰っていつ、どこで、どのように回答するか。勉強するときにどういう手順を経てどこで悩んだか、どれくらい時間を費やしたのかなどを書き込んでもらい、そのデータを集めてサーバーに保管する。そこには学校と自宅での生徒の学びの変化が蓄積されるので、それを分析してICT教育の効果を測る-。

 期間は2015年4月から16年3月まで、研究対象校は美濃教授の知人が学校長を務める京都市立西京高校附属中の3クラス・全119人に決まった。西京高校は明治時代の京都府商業学校を前身とし、市政施行にともない京都市立となった名門で、附属中は中高一貫教育のため生徒の転出入が少ない。データを安定して集められることも決め手になった。

 授業で使うタブレットPCや電子黒板、学習データの分析に関わる機器などを提供し、技術や運用のサポートを行う役割にはNECとNECフィールディングが手を挙げた。日本マイクロソフトは研究を支援する企業のとりまとめにあたったほか、障害に強く、急なアクセス増にも柔軟に対応できるインターネット経由のクラウドサービスなども提供する。京大は学習データの分析手法を開発し、研究成果をまとめる。教育委員会は研究に必要な環境や情報を提供し、研究成果を踏まえて市立学校でのICT活用のあり方を検討する。ちなみに、市の補助金など公的資金は入っておらず、すべて関係者の手弁当だ。

 こうして4者がスクラムを組んだ実証研究「京都ICT教育モデル構築プロジェクト」が動き始めた。昨年6月と12月には教育関係者やマスコミを集めて公開授業も実施し、今年3月下旬には研究成果を発表する段取りだ。ところが、プロジェクトには思わぬ伏兵が潜んでいた。

この続きはNECのビジネス情報サイト「WISDOM」でお読みください