大阪市港区の水族館「海遊館」での男性管理職のセクハラ発言をめぐり、最高裁は26日、「出勤停止などの処分は妥当」と判断、企業側に厳格な処罰を認めた。セクハラに対する社会的認識が厳しさを増す中、甘い対応は企業イメージを傷つけ、業績に悪影響を及ぼす恐れすらある。専門家は対応の「厳格化」がさらに加速するとみており、今後、企業内での対策の充実が課題となりそうだ。
「企業の『価値観』が問われる。セクハラへの厳しい姿勢と、処分の厳格化を迫られるのではないか」。危機管理コンサルタントで「リスク・ヘッジ」社長の田中辰巳氏は、判決の企業への影響をこう分析する。
田中氏は、女性や幼い子供を対象にした業種などで特に厳しい姿勢が求められることになると指摘。「セクハラに甘く、怖い企業と思われれば、お客さんは逃げる。いい加減な対応は命取りになる」と強調する。
企業は一層の危機管理を求められる形だが、田中氏はセクハラやパワハラ、飲酒運転などが時代とともにより重い「罪」に変化したとも指摘。「社会の変化を認識し、企業の置かれている立場や、行為の重大さを繰り返し伝えるというコンプライアンス教育の充実がより重要となる」とみる。