うどんやそばのチェーン店を展開するグルメ杵屋(大阪市)も7月から、パートやアルバイトを対象に時間や地域を限定した正社員への転換制度を始めた。直営店440店で最低1人ずつ、正社員を増やす計画だ。現状では年間3千~4千人のパートやアルバイト社員が入れ替わる。定着化をはかりたい思いもある。
正社員化は人件費増の要因となるが、「(人材が定着すれば)サービスが向上し、採用・教育コストが減る」(グルメ杵屋)、「働く人と会社の信頼関係があってこそ丁寧な対応や心地よい空間を作り出せる」(スターバックス)と意に介さない。
経済の低成長が続き、企業は新卒採用を控え、安価で雇用調整しやすい非正規の労働力に依存してきた。非正規雇用者数は昭和63年の755万人から平成25年には1906万人に膨れあがった。しかし、この流れが人手不足と押し寄せる少子高齢化の波により変わろうとしている。大和総研の広川明子主任コンサルタントは「うわべの正社員化でなく、人件費を投資と考えて魅力的な職場にしてこそ真の人材確保やサービス向上につながる」と提言している。