□博報堂「おざわせんせい」編集委員会著
■一所懸命仕事をする幸せ
本書は広告代理店の博報堂が、社内用に出版した『先達クリエイターの名言集』から、小沢正光さんの言葉だけを抽出したものだ。その小沢さんとは1951年生まれの広告マン。現在は博報堂顧問兼チーフプラニングオフィサーを務めている。
小沢さんが発した言葉は一刀両断にして一撃必殺。無茶な仕事ぶりで知られる広告代理店でも稀有(けう)な存在だという。その言葉とはたとえば、「仕事の文句を言うヒマがあったら仕事しろ」「言葉で殺されたいか? それとも、拳で殺されたいか?」「俺は、この人生、反省しているが、後悔はしていない」。
まさに常在戦場を旨とするような広告マンのように見える。しかし、本書の魅力はそこだけではない。知られざる広告代理店の社内を垣間見ることができるのだ。
疲れと緊張でプレゼン本番中に気を失うクリエイティブ。横暴な上司にキレて携帯電話を3台折った部下。蕁麻疹(じんましん)になった部下に一人前になったと喜ぶ上司。それどころか小沢さんは部下の結婚式で「制作者は、少し不幸なほうがいいものを作ります」などスピーチをするのだ。