■釣り合わない才能と欲望…そのひずみを埋めたい
『夢をかなえるゾウ』『人生はニャンとかなる!』などのベストセラーを生んできたクリエーターの水野敬也さん(37)がパラパラ漫画で人気のお笑い芸人、鉄拳さん(41)とタッグを組んだ絵本『それでも僕は夢を見る』(文響社)を刊行した。誰もが人生のどこかで夢を見つけてかなえ、あるいはあきらめ、捨てる-。シンプルで短いストーリーだが、「夢との向き合い方」を伝える力強いメッセージが込められている。(戸谷真美)
主人公の「僕」は第1志望の学校に入れず、好きな女性にも振り向いてもらえない。希望した仕事にも就けなかった。そんな彼を「夢」はずっと励まし続ける。だが、ついに彼は夢の存在に疲れ、夢を捨ててしまう。僕と、その人生に併走する夢を鉄拳さんがユーモラスに温かく描く。
水野さんは「僕は夢を持つって苦しいな、とずっと思ってきた」という。「夢って恋愛に近い。人を好きになった瞬間、振られるか、うまくいくかの二択を突きつけられる。けれど、うまくいくことはほとんどなくて、傷つくことの方がずっと多い。こんなにしんどいのに、何でやるんだろうと自分でも疑問だった」