この説が科学者から無視されてきたのは、ダーウィンの進化論、つまり地球の進化は地球自身の営みで決まっているという斉一説に支配されているからだ。もはやドグマであり、違う説は「非科学的でとんでもない話」として扱われてしまう。科学者なら「信じる、信じない」ではなく、「ちゃんと調べましょう」といいたい。このドグマを、赤い雨で持ち込まれた細胞の正体を突き止めることで打破したい。年内にゲノム解読を終えて、しかるべき学術誌に発表したい。(1680円 KADOKAWA)
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【プロフィル】松井孝典
まつい・たかふみ 東京大学理学部卒、1976年同大学院理学系研究科地球物理学専門課程博士課程修了。78年同大理学部助手、助教授を経て99年教授。2009年千葉工業大学惑星探査研究センター所長、東大名誉教授。68歳。静岡県出身。著書は「地球システムの崩壊」(新潮選書)、「生命はどこから来たのか?」(文春新書)など多数。