□「スリランカの赤い雨」
■「生命は宇宙からきた」説を検証
タイトル通り、2012年11月~13年1月と同年9月にスリランカに「赤い雨」が降った。砂漠の微粒子を含む「黄色い雨」、火山灰や煤(すす)を含む「黒い雨」はたびたび確認されているが、赤い雨は珍しい。
実は01年7~9月にはインド南西部ケララ州でも赤い雨が降った。インド研究者によって、その正体は4~10ミクロンの単細胞であることが報告されている。面白いのは、この雨が降る前に爆発音を聞いたとの報告があることだ。このため、この研究成果を発表した論文では、いろいろな状況証拠から、この細胞が彗星(すいせい)によってもたらされたのではないかと推論している。細胞は宇宙から来た生命体かもしれないというのだ。
その細胞が宇宙から来たのか地球産なのかはゲノムを解読すれば分かるが、DNAが見つからず何者か分からない。しかしわれわれはスリランカに降った赤い雨からDNAを見つけた。物的証拠になるものを持っており、ゲノムを解読することにした。
赤い雨は3000年の歴史がある。神話とか古文書に、「天から石が降ってきた」「大気中で爆発音がした」という記述とともに残っている。しかし、だれも科学的に調べていない。全く未知の現象であり、今回のスリランカの赤い雨が、こうした未知の現象の解明につながるかもしれない。赤い雨から採取された細胞が地球外生命体であることを科学的に裏付けることができれば、これまで無視されてきた「生命は宇宙からやってくる」というパンスペルミア説の是非が検証できる。