ユニークな授業を追体験
学生はもちろん、社会人にもお薦めしたい本がある。とある授業をまとめた一冊なのだが、僕がいま学生だったら、他大学だったとしても、なんとか潜り込んでその授業を受けたと思う。
授業の名は「インスティゲーター(扇動者の意)」。大学の授業とは思えない、何かのイベントのような名前だ。実際、開始前にはライブ会場さながらの長蛇の列ができ、整理券が配られるらしい。そして教室に入れば、薄暗い空間に学生たちの熱気が溢(あふ)れ、音楽家・大沢伸一氏のセレクトしたクールな曲が流れる。
ゲストの顔ぶれも豪華だ。アートディレクターの佐藤可士和氏にスポーツ界のスター、中田英寿氏。ファッション界からはNIGO氏、映画監督の本広克行氏、そして気鋭の美術家、名和晃平氏。学生たちが夢中になるのも頷(うなず)ける。そして授業の仕掛け人は、インテリアデザイン界のフロントランナーとして世界的に活躍する片山正通氏。武蔵野美術大学の空間演出デザイン学科の教授に就任後、「自分が学生だったとしたらこんな授業を受けてみたい」という願望をそのまま形にし、現在も継続中だ。