マタニティハラスメント(マタハラ)といった言葉がメディアをにぎわしている。パワーハラスメントの一種で、妊娠を告げたことや妊婦であることによって上司や同僚、職場で嫌がらせやプレッシャーを受けることを指す。
ジャーナリストの著者がリポートする事例は、妊娠を理由に解雇を迫る明白な法令違反から、産休や時短勤務をめぐって男性の無理解や同僚女性の嫉妬や不満が引き起こす軋轢(あつれき)まで、形態も悪質さの度合いもさまざま。背景には日本の産業構造の変化とそれに伴う労働環境の悪化も見え隠れする。問題の処方箋を考えるための格好の入門書。(宝島社新書・790円)