そして「孤独を覚悟する」ということも重要ではないかと思います。つまり50歳から学ぶ素材・対象は自分のなかにあるということなのです。いままで蓄えた自身の鉱脈を掘る(自分に学ぶ)ことが結果的に、後人のために何かを残すことにつながるかもしれません。それゆえにルーマニアの作家、コンスタンチン・ゲオルギュの「喩(たと)え世界の終末が明日であろうとも、私は今日、リンゴの木を植える」という言葉を私は座右の銘としているのです。(1680円 サンマーク出版)
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【プロフィル】童門冬二
どうもん・ふゆじ 1927年東京生まれ。特攻隊に志願するが翌年終戦。戦後、東京都庁に勤務。60年に第43回芥川賞候補となる。79年美濃部亮吉東京都知事の退任とともに都庁を去る。50歳を過ぎて作家活動に専念し、ベストセラー『小説 上杉鷹山』など、歴史上の人物にその経験を重ね合わせ、人事管理や組織運営のあり方を叙述する数々の傑作を執筆。勲三等瑞宝章受章。