■意識して王道を邁進し、本質を求める
米国の大学や大学院で学び、米国企業を経て米国にMRI(磁気共鳴画像診断装置)の心臓部にあたるデバイスを製造するメーカーを起業。現在ではこの企業が世界トップクラスのシェアを持つまでになりました。
オバマ大統領の一般教書演説に外国人として唯一招かれたこともあります。そのせいか、最近は日本を元気にするにはどうしたらいいと思うか、といった質問をよく受けます。
近年は日本に帰って新聞などをみると、きまって元気を失った日本企業のニュースや景気の低迷に苦しむ日本経済に関する記事が目につくようになりました。それほど、日本経済は活力を失っているということだろうと思います。
当然日本では、この苦境から脱却するためのさまざまな施策が進められています。しかし、そうした施策からも日本の“問題点”がみえてきます。例えば、眠っている技術や人材を発掘、有効活用して新たな産業を創出する、というプロジェクトがあります。その是非はともかく、具体化するプロセスがよくみえません。もしこれを実行して結果を出すのなら、そうした技術や人材を誰がどう発掘するのか、人や技術の審査基準は…などを詳細に決める必要があります。これが実は一番重要な部分であり、人材や手法が手薄ではまずいい結果はでません。
日本でも、大学を出て就職せずにいきなり起業するケースが増えています。これも同じ。起業が目的化し、もうかりそうな事業を後付けで考えて経営を進めたところで、新たな価値を生み出すことはできません。
いずれも、“表面的にものを見て、本質を追求していない”という点が共通しています。