■うのみにせず、自分の頭で考える
私は最近、日本人が「専門家」の言葉をうのみにすることが多すぎる、と感じる機会が増えました。私自身は「専門家とはいえ、間違うことはある。相手の言っていることの信頼性はどのくらいだろう」とチェックする習慣があります。
こういった考え方を英語でクリティカルシンキングといいます。直訳すると「批判的な考え方」ですが、「相手の言うことをうのみにせずに、自分の頭でもいろいろな視点から考える」ということです。
自分の健康やお金は、自分で守らなくてはなりません。この分野は特に、専門家の質の振れ幅が大きく、だまされるケースも後を絶ちません。
この本では、医療・健康分野、経済・金融分野、教育・コーチング分野での優れた専門家の見抜き方、「専門家」の発言はどう疑うべきなのか、誰の発言なら信じてもよいのかを自分自身で判断できるような基準を伝えます。私自身の水泳やゴルフ体験からの学びも入れました。
私も経済の専門家です。
「専門家の発言がどういう動機や構造の中からされたことかを知ることが必要だ」という主張は、“専門家”というジャンルに属している私の“内部告発”といえるかもしれません。私がテレビのコメンテーターを辞めた理由も書きました。
8章「なぜ『マッキンゼーの素人』は専門家と渡り合えるのか」では、どんな専門家にも共通する強みと弱点について解説しています。
どの専門家の意見をとるかで、人生の運や質が大きく変わってしまうのが現実です。つまり、専門家選びは、「人生の賭」だといえるのです。
各章終わりには、情報を自分の体験に結びつけてアウトプットできるような「課題」をつけました。この本の内容が、誰にでも必要で、とても身近なことなのだと感じてもらえると思います。(756円 小学館)