茂木敏充経済産業相は10日、東京・大手町の経団連会館で米倉弘昌会長ら経団連幹部との懇談会を開いた。茂木経産相は、政府がまとめた大型の企業減税策について説明したうえで、経済界に賃上げへの協力を要請した。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」は、企業収益の改善で賃上げや消費拡大をもたらす好循環によるデフレ脱却を目指している。経産省は幹部職員が企業に出向いて“賃上げ行脚”を始めるなど経済界への働きかけを積極化させる。
懇談会の冒頭、茂木経産相は「アベノミクスで実現した企業収益の改善を、賃金の引き上げや取引先企業の支援という形で還元して頂き、経済の好循環の実現に向けて確かな一歩を踏み出してもらいたい」と賃上げの必要性を強調した。
それに対し、米倉会長は「企業収益の改善を雇用の創造や報酬の引き上げにつなげていく。経済の好循環を実現することが必要との認識を政府と共有し、経済界としてもタイムリーかつ積極的に対応していきたい」と応えた。懇談終了後、茂木経産相は記者団に対し、「われわれの意図をしっかり受け止めてもらった。前向きな行動をしてもらえると思う」と手応えを語った。