山口県周南市の山間部で起きた連続殺人放火事件。5人の命が奪われた凶悪事件だが、ネット上では、殺人などの容疑で先月26日に逮捕された保見光成(ほみ・こうせい)容疑者(63)への“奇妙な同情”が広がっている。閉鎖的な地域社会から疎外された男が、ついに怒りを爆発させた-とする見方に基づく擁護論。その盛り上がりの背景には何があるのだろうか。
「田舎ではありがちなこと。集落ぐるみのいじめがなければ、加害者は殺人を犯すような人物ではなかったと思う」(はてなブックマーク)
「やっぱ村社会みたいな閉鎖的な環境は人をゆがめるよな」(ツイッター)
事件の現場は、周南市の中心部から車で約45分離れた山中の小さな集落。過疎化が進み、今年6月時点で14人の地区住人のうち10人が65歳以上という典型的な「限界集落」だ。報道される関係者の証言からは、狭い人間関係の中で、長期にわたる隣人トラブルの末に孤立を深めていった容疑者の姿が浮かび上がってくる。ネットの議論で特に目立つのは、報道の断片などから、容疑者が隣人からの“いじめ”に遭っていたと推測し、同情する傾向だった。