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飲食店、忘年会需要に期待の声 第6波の不安尽きず

 新型コロナウイルスの感染状況が全国的に落ち着く中、忘年会シーズンの到来を前に飲食店関係者の期待が高まっている。時短要請などの解除から25日で1カ月がたった東京都では客足の増加がみられる上、来月からは人数制限もこれまで以上に緩和される。ただ、感染拡大「第6波」への不安は尽きず、忘年会の開催に慎重な声も漏れる。

 東京・新橋の居酒屋「和食りん 新橋本店」では、10月半ばごろからほぼ満席状態が続く。店長の西村一樹さん(40)は客足の戻りを実感しているといい、会社の忘年会とみられる宴会の予約も「ぼちぼち入り始めている」と喜ぶ。

 予約が入り始めた時期はコロナ禍前の例年と比べて遅かった。「4、5人単位のグループが多く、大人数での予約は全くない」という傾向の変化も気がかりだが、西村さんは「今ぐらいの状況が続いてくれれば…」と期待を込める。

 都内で3店舗の飲食店を経営する「ノーツ」の寄木一真営業部長も「忘年会の予約が少しずつ入り始めている」と安堵(あんど)の表情を見せる。当初、忘年会需要に期待していなかったものの、年末に向けてネット上のPRなどに注力している。

 ただ、都がこの日示した人数制限の新方針には疑問を呈す。感染防止を徹底した「認証店」では、5人以上としていた客へのワクチン接種証明などの提示を12月から9人以上とした。

 寄木さんは「5人と9人で何が違うのか」と苦笑。「お客さんに接種証明を出してもらうのは負担。日常的に飲食店以外にも人が集まる機会はたくさんあり、キリがない。感染者数が落ち着いている中でやる意味はあるのか」と話した。

 対面で大人数を集め忘年会を企画する企業もある。都内の外資系ITベンチャーでは12月上旬ごろ、ホテルの宴会場を貸し切り、社員約50人が参加する会食を実施する予定だ。

 昨年の忘年会はオンラインで開催したが、今年は感染状況を踏まえ、例年と同様の規模で実施。感染拡大を心配する一部の社員から「本当にやっても大丈夫なのか」という声があがったため、酒類は出さず、時間は2時間制とするなど、感染防止に配慮をみせる。

 20代の男性社員は「大勢での会食は久しぶりで楽しみ。感染に気をつけていれば大丈夫ではないか」と会社の決定を支持する。

 一方、年末年始にかけての「第6波」への懸念から、東京都港区に本社を構える「都築電気」は今年も忘年会の開催を見送る。同社によると、これまで都に緊急事態宣言などが出ている間は、社内ルールで会食を禁止していた。現在は「会食するなら4人まで」とルールを緩和したが、撤廃する予定はない。

 同社ではテレワークが浸透し、本社の社員の出社率は4割ほど。広報室の北浦文輔さんは「出社したときに顔を合わせた数人で飲みに行くことはある。でも、飲み会の全面解禁はまだ先になる」と話した。(浅上あゆみ、内田優作)