頭痛、肌荒れ…マスクの悩み「1分でも外して」
新型コロナウイルスの流行によって、マスクの着用がすっかり定着した。感染を防ぐためとはいえ、マスクは息苦しい。マスクのトラブルと対処法を知り、新型コロナの存在を前提とした「新しい日常」を少しでも快適に過ごしたい。(小林佳恵)
二酸化炭素過多
東京都目黒区の男性会社員(31)は、新型コロナの感染拡大を受け、これまでなじみのなかったマスクを日常的に着用するようになったが、「息苦しく、倦怠感(けんたいかん)を覚える」と訴える。マスクを外すと気分がよくなるといい、「不調はマスクの影響が大きいと思う」と考えている。
男性のように、マスクを日常的につけることによって、体の不調を訴える人は後を絶たない。
頭痛専門外来「東京頭痛クリニック」(東京都渋谷区)では5月頃から、片頭痛の相談が増えたという。
「マスクが原因の『マスク頭痛』の可能性があります」と話すのは、同クリニックの丹羽潔理事長だ。
丹羽理事長によると、マスクを常時することにより、片頭痛や緊張型頭痛が悪化することがある。成人ならほぼ誰にでも起こり得るという。
原因はいくつか考えられる。まずは二酸化炭素過多だ。「マスクをしていると自分の吐いた息をすぐに吸うことになる。二酸化炭素が多く、酸素が少ない空気を吸うことで、脳内の血管が拡張して頭痛が起こりやすくなります」と丹羽理事長。
さらに、マスクのゴムがこめかみを締め付け、顎や首の筋肉に負担がかかることや、マスク内の温度が上がることによる熱中症も頭痛の原因になるという。
では、どのように予防したらよいのか。丹羽理事長は「感染の可能性が低い場所で、1時間に1分でもマスクを外してほしい」と強調。また、日傘や冷却スプレーを使うなどして体温の上昇を防ぐことや、熱中症予防のため、「喉が渇いた」と感じる前に水分補給することも重要だとした。
コットンを挟む
夏場のマスク着用では、肌トラブルも大きな悩みとなっている。
女性専門の皮膚科クリニック「赤須医院」(東京都港区)の赤須玲子院長によると、マスクの着用によって、口から顎にかけてのニキビ▽かぶれ▽乾燥▽汗疹(あせも)-といった症状が出ることが多い。
ニキビは、マスクと皮膚の摩擦が主な原因で、何度も繰り返す場合もある。
マスクと皮膚の摩擦は、かぶれの原因にもなる。皮膚を保護する角質層が取れ、ほこりや紫外線など外部の刺激を受けやすくなってかぶれ、炎症を起こすこともあるという。
また、吐いた息に含まれる水蒸気が、マスクを外すと一気に蒸発し、皮膚が乾燥。水分が蒸発した後に残る尿素は、汗疹などのトラブルを引き起こす。
マスクによる肌トラブルを防ぐため、まずはマスク選びを見直そう。「不織布よりも、綿や麻、ガーゼなど通気性のよい生地を選びましょう」と赤須院長。不織布を使う場合は「マスクと皮膚の間に、薄く裂いたコットンを挟むのも有効」とアドバイスする。
汗はこまめに拭き取る。帰宅してマスクを外したら、しっかりと洗顔し、たっぷりと化粧水をつけたら、乳液やジェルで保湿する。「ゴシゴシ擦らず、優しくケアします。また、ベタベタしたクリームは避けて」(赤須院長)。
肌に炎症が起きた場合は、タオルで包んだ保冷剤か、冷蔵庫で冷やした化粧水をつけて冷やすとよいという。