Go To東京都除外でキャンセル続出 千葉の宿泊施設悲鳴「廃業も」
政府の観光支援事業「Go To トラベル」が22日から始まる。開始直前に東京都発着の旅行が対象外となったことで、千葉県の旅館では都内の観光客からのキャンセルが続出。同じ首都圏という近さから例年、夏の観光シーズンには都内から多くの旅行者が県内の観光施設を訪れるだけに、関係者の間にはショックが広がっている。
御宿町の旅館「大野荘」の大野和美女将(おかみ)は「キャンペーンに期待していただけに落胆が大きい」とため息をつく。東京除外が決まった16日以降、連日キャンセルの連絡が入っており、7、8月の予約は例年の2割に満たないという。
「昨年の台風から厳しい状況が続いている」といい、「このまま続けば廃業も考えないといけなくなる」と悲痛な声で話した。
今年6月に一宮町にオープンした「ホテルくじゅうくり」も7、8月の予約にキャンセルが出て、8月はほぼ予約が入っていない状態になった。東京五輪のサーフィン会場になっている釣ケ崎海岸に近いため都内などからもサーフィン目当てで来る客が多く、東京除外の影響は大きい。
秋に入っていた団体の予約にもキャンセルが出ており、杉本春枝総支配人は「東京のお客さんがいるという理由でキャンセルされるお客さんもいる。キャンセルが増える一方だ」と話す。
明治32(1899)年から続く南房総市の老舗旅館「魚拓荘鈴木屋」も新型コロナウイルスの影響で6月の宿泊客は例年の約7割まで減少した。キャンペーンをきっかけに客数を例年並みに戻そうと意気込んでいたが、東京除外が決まった16日以降、都内の客から予約のキャンセルが出ているという。
4代目の鈴木健史さんは「予約の3割は東京からのお客さんなので痛手だ」と話す。ただ、東京からの観光客を受け入れることで地域に感染が拡大することへの懸念もあり、「ほっとした部分もある」とも。キャンセル料が発生することに心を痛めていたが、政府による補償が決まったことで「ようやく安心してお客さんを迎えることができる」と前を向いた。