ついにYouTubeデビュー
遅ればせながら、YouTubeを始めました。こうして「SankeiBiz」にコラムを寄稿させていただいているという事情もあり、自らウェブ媒体に足を踏み出したのである。向学心に火がついた。昭和世代の物書きとしての反省と自覚である。
タイトルは「木下隆之channel CARドロイド」である。と、あからさまに宣伝をさせていただく。とはいうものの、けしてYouTuberとして、その泡のような収益で贅沢な生活を企てているわけでもない。それでもこうして告知する理由は、ひとりでも多くの方に「木下隆之channel」を見て欲しいからである。
というのも、ウェブ媒体に携わるようになって数年、それでもまだ多くの紙媒体でコラムを書かせていただいている。そこで感じるのは、ウェブ媒体の力だ。目を合わせて会話をしているわけではないのに、読者の反応を知ることができる。それが特徴だ。
芸人がテレビよりも劇場の方が楽しいという。歌手はテレビよりライブのほうが盛り上がるという。だがウェブ媒体は、文章を一方的に発信するだけの紙媒体とは違って、反応がリアルタイムに分析できるのだ。笑い声やお怒りが、手に取るように想像できる。
もちろん紙媒体にも魅力はある。タイトルやレイアウトの描き方は、雑誌や書籍媒体とウェブでは異なるし、行間を読ませる機微においては書籍は優れている。どちらに優劣をつけるつもりはない。媒体としての性格が異なる。
ウェブでは、視聴状況を知ることができる。どれだけの人が僕の記事に目を通してくれたのか、どれほどの人が途中で離脱してしまったのか、あるいは何度も繰り返して再読してくれたのかが分かるのだ。視聴の時間帯もわかる。視聴者の住まいも性別も、完全とは言わないまでもおよそ想像することができる。
どんなクルマの試乗記が読まれ、どの記事には興味を示さなかったのかも想像できる。僕の記事のどの点が好印象で、どの視点には無反応だったかもわかる。その学びが、SankeiBizの執筆に役立つことを願っている。
話題の新車をいち早くインプレッション
ただし、その数字に惑わされてはいけないとも感じている。YouTubeを始めて3カ月だから、まだまだ修行の身である。だがそれでも分かるのは、やはり新車の反応はあからさまにいいことだ。それが販売台数が見込まれる大衆車であれば、より多くの読者の目に届く傾向にある。バイヤーズガイドとしての視聴が多いのであろう。だから、僕は、可能な限りいち早く話題の新車の記事を発表することにしている。
だが、それだけではどこか物足りない。仮に話題性が薄くとも、それでもぜひ知っていて欲しいネタがあれば紹介しようと思う。路地裏を背をかがめながら歩くようにして拾い集めた、クスッと頬が緩むような情報もお届けするつもりだ。それをちょっと特殊なキノシタ風の文体でお届けすることも少なくないと思う。
同じくSankeiBizで連載中の「試乗スケッチ」では、最新モデルの試乗記を書き連ねている。この「クルマ三昧」は、試乗記から離れて拾い集めたネタである。「試乗スケッチ」はストライングゾーン真ん中の直球であり、「クルマ三昧」はアウトコースギリギリにハズレるスローカーブだと思っている。それが証拠に、SankeiBizという媒体を借りて、豊かな情報を期待しているSankeiBizの読者に、自らのYouTubeを告知するというスローカーブを投げ続けているのだから呆れられてもしかたがあるまい。
というわけで、なんだか妙な所信表明のようになってしまったが、これからも「SankeiBiz」と「木下隆之channel CARドロイド」をよろしくお願いします(笑)。
【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】はこちらからどうぞ。YouTubeの「木下隆之channel CARドロイド」も随時更新中です。