教育・子育て

休校要請で学習の遅れにどう対応?「学習格差も」「保護者の目配り重要」

 政府の休校要請方針を受け、各地の首長や教育委員会は続々と対応策を示した。休校期間の短縮など独自の方針を打ち出した自治体がある一方、多くは政府の要請に準じ、週明けから春休み終了までを休校とする対応をとる見通しだ。教育現場では学習の遅れへの不安も広がる。どう対策を講じるのか。

 「未履修の単元があった場合、新年度に持ち越すしかない」。3月2日から新年度の始業式までの休校を決めた大阪府教育庁の担当者はこう語る。授業が終わっていない教科が残る学校はそう多くないとみるが、「もし残っていれば新年度の夏までにやるしかない」という。

 学校での授業内容や時間数は、学習指導要領と学校教育法施行規則で定められており、春休みまで休校となった場合、年度内に振り替え授業を行うことは困難だ。文部科学省は休校の影響で規定に満たない場合も、進級に問題はないとの見解を示すが、大阪府東大阪市立小学校で2年生の担任をする男性教師(37)は「学習には継続性があり、やり残しがあるまま進級させるのには不安がある」と語る。

 休校期間中、児童・生徒の学力をどう維持するのか。文科省は28日、各教委や学校に対し、家庭学習など必要な措置をとるように通知。例えば、小学国語は作文の課題や漢字練習、補助教材の活用など、科目ごとの家庭学習の具体例についても示した。

 ある大阪市立小では28日、2週間分の国語や算数などのプリントやドリルへの取り組みを児童に指示。保護者である女性会社員(40)は「答え合わせも家庭でやることになった。ただ、宿題だけ出されても理解が進むか不安なので、答え合わせを自動で行うタッチパッド式の通信教育でフォローしたい」と話す。

 今回の通知は各学校や家庭の対応に依拠する要素が大きい。教育研究家の妹尾(せのお)昌俊氏は「塾や通信教育の有無で学習格差が生まれる可能性がある」と指摘。「学校側や保護者が、いかに児童・生徒の学習意欲を高めていくかが重要だ」とした上で、「ゲームなどの誘惑も多く、保護者の目配りも重要になる。休校が長引くほど、学校側は学力の把握が難しくなる。最大限感染リスクを抑えた上で、学年別登校日を設けるなどの対応が必要だ」と話している。