【健康カフェ】(154)食事 その塩分が寿命を縮める!

 

 皆さんは毎日の食事メニューをどのように選んでいますか? 健康を気遣い、今日は魚にしておこうとか、揚げ物はやめておこうとか、考えることもあるとは思いますが、それでも、自分の好みへの誘惑に打ち勝つのはなかなか難しいものです。

 糖尿病で私のクリニックに通院する60代後半の男性患者さんは高血圧で血圧を下げる薬も飲んでいるのですが、糖尿病を考えた食事はできても、血圧を考え塩分を控えることはうまくできないようです。奥さまが薄味で作ってくれる料理に、しょうゆをかけたり塩を足したりしてしまう。心臓にも腎臓にも負担になるので塩分を控えてとお話しするのですが、「味気ない食事なら食べない方がまし」と聞く耳を持ってもらえません。

 普段食事をとるとき、それが寿命を縮めるかどうか考えないかもしれませんが、食事は確実に私たちの体に影響を及ぼします。

 世界195カ国の成人を対象に、感染が原因ではない「非感染性疾患」による死亡と食品との関係を調べた研究結果が今年4月、医学誌「ランセット」に発表されました。ここで言う非感染性疾患とは狭心症、心筋梗塞といった虚血性心疾患や糖尿病、大腸がんのこと。食塩や野菜、果物といった15種類の食品摂取との関係を調べています。

 その結果、2017年に死亡した成人の22%は食事が関連した病気であり、原因の大半は塩分の過剰摂取、麦など全粒穀物の摂取不足、果物の摂取不足の3つが占めました。日本に限ってみると塩分摂取量が死亡の最大の原因となっています。

 食事に関しては「脂質が悪者か、糖質が悪者か」という議論が長らく交わされていますが、それよりも塩分を減らす、全粒穀物や果物、種実類や野菜をしっかり食べるということが、健康で長生きにつながるのかもしれません。もちろん食べ過ぎに注意は必要ですし、注意した食事をしているからといって、健康診断を受けないとか自身の判断で治療薬をやめるとか、しないようにしてください。(しもじま内科クリニック院長・下島和弥)=次回は27日掲載予定