気持ちがうまく伝わらない。悪気はないのに相手を不快にしてしまった。皆さんも、そんな経験はありませんか? この連載ではコミュニケーション研究家でアップウェブ代表取締役の藤田尚弓が、ビジネスシーンでの「最強の話し方」をご紹介していきます。
第16回は「会社の飲み会」がテーマ。年末年始は職場でもプライベートでも飲み会が増える時期です。知っているようで知らない、「負担にならない誘い方」「失礼にならない断り方」「飲み会での無難な話題」「みんなで楽しめる飲み会ネタ」をご紹介します。
パワハラやアルハラにならない誘い方とは?
会社の飲み会への参加を「業務なんだろうか?」「時間外なのに…」など、ネガティブに捉える人も増えています。飲み会で慰労する、職場の結束を強くするといった考え方はもはや時代にマッチしていないのかもしれません。誘う場合には、部下が断れるように配慮することが必要でしょう。
みなさんは部下や後輩が断れないような誘い方をしていませんか?
▼部下が断りにくい誘い方の例
「20日は忘年会だから」
言語には、実際には口にしていないことまでニュアンスとして伝わってしまうという特性があります。飲み会への参加が必須であるかのように受け取られてしまう誘い方は避けたほうがよいでしょう。
お勧めなのは「差し支えなければ」というフレーズをプラスすることです。
▼部下が断ることができる誘い方の例
「差し支えなければ、20日に忘年会があるから参加して」
これなら参加が強制でないこと、断るという選択肢もあるということが伝わります。飲み会以外にも応用できるフレーズですので、覚えておくと便利です。
次に飲み会をスマートに断るフレーズについて確認しておきましょう。
飲み会をスマートに断る方程式
飲み会を断るとき、私たちはとっさに「行けない理由」を伝えたくなります。本当に行けない理由がある場合はいいのですが、嘘の理由で断るときには少し注意が必要です。表情や態度でなんとなく嘘であることが伝わるということもあります。後でバレてしまって信頼関係にヒビが入ってしまったというケースもあります。
解決策は、誘いを断るときの理由を具体的に言わないこと。本当に行けない理由がある場合でも「予定があって」「家の用事で」「先約があって」といった程度にとどめるようにしておくのがお勧めです。
とっさに使えるよう、失礼にならない断り方の方程式を確認しておきましょう。
《飲み会をスマートに断る方程式》
「飲み会への肯定コメント」+「具体的でないNG理由」+「次回に繋げるフレーズ」
具体例:「同期会か、いいね! その日はあいにく先約があって参加できないんだけど、また誘ってくれよ」
本当に誘ってほしい相手の場合には、以下のような次回に繋げるフレーズを覚えておくとよいでしょう。
「〇日はどうですか?」 「次は私からも誘いますね」 「次回こそはぜひ!」
もう誘ってほしくない相手の誘いを断る場合には、次回に繋げるフレーズをカットすればOKです。
「じゃあ、いつならいいの?」「〇〇さんの都合のいい日に合わせるよ」という誘い方をされた場合には「落ち着いたら連絡させてください」と対応しましょう。
使える時間は限られていますし、連日飲んでいては健康面も心配です。飲み会は自分のペースで参加するようにしましょう。
次に、普段あまり話さない人と飲み会でどのような話をすればいいのか、お勧めの話題をご紹介します。
相手が話したくなる魔法の質問
「何を話したらいいんだろう」と困るのは、自分が話そうとしているから。関係性が浅い人と雑談をするのなら、聞き手にまわるのが一番です。
とはいえ、質問ばかりしていては取り調べのようになってしまいますし、相手が話したくないことまで訊いてしまうリスクもあります。相手が話したくなる、お勧めの質問をご紹介しておきます。
年末の飲み会なら「〇〇さんの今年の三大ニュースはなんですか?」がお勧めです。これなら相手を主役にして会話を進められますし、相手が話したい内容を選ぶことができます。
あまり時間がないケースであれば「〇〇さんの今年を漢字一言であらわすと何ですか?」という質問がよいでしょう。
これらの質問は、久々に会う親戚などにも使えますので、帰省時の話題にもお勧めです。
覚えておくと便利! みんなで盛り上がりたい時のネタ
昔のように宴会芸を強要されるということはないと思いますが、みんなで盛り上がれるネタを知っていると便利です。
お勧めなのは、記憶を再生しながら10円玉の裏側を絵に描いてもらうというもの。人の記憶は曖昧ですので、想像以上に盛り上がります。
どちらが表裏を間違う人がいたり、思わぬ傑作や珍作が出たりと楽しめるでしょう。年代や性別を問わず楽しめる無難なトピックですので、飲み会で愚痴や不満が多くなってしまった時、場の空気を換えたいとき、正月など属性の違う人たちが集まったときなどにやってみてください。
相手に無理をさせず、自分も無理をしない。みんなで楽しく過ごせる配慮こそが、飲み会のときの「最強の話し方」なのです。
【最強のコミュニケーション術】は、コミュニケーション研究家の藤田尚弓さんが、様々なコミュニケーションの場面をテーマに、ビジネスシーンですぐに役立つ行動パターンや言い回しを心理学の理論も参考にしながらご紹介する連載コラムです。更新は原則毎月第1火曜日。アーカイブはこちら